賃貸物件で【猫はNG】の理由とその対策

 

春は引っ越しシーズン。
昨今のペット(特に猫)ブームで、猫を飼っている方も多いと思いますが、猫を連れてお引越しをするにあたって、困った!と思うのが猫が飼える賃貸物件がことのほか少ないということではないですか?

 

分譲マンションなどでペット可の物件は増えてきましたが、それでも犬はOKで、猫NGというところが多いのはなぜでしょうか。

 

ペット(猫)が嫌われる6つの理由


なぜ猫は賃貸物件でNGとされてしまうのでしょうか?

 

①爪を研ぐ(とぐ)から


猫は伸びてきた爪を自分で研いでお手入れします。
外飼いの猫なら、適当な木や廃材、段ボールなどをみつけて「バリバリ」やるところですが、室内飼いの場合は柱、ベッド、ソファー、壁など身近にあるもので代用します。

 

賃貸物件の場合、明け渡し時には原状復帰の義務があるので、傷だらけになった壁や柱、フローリングは修復しなければなりませんが、あまりに痛みが激しいと修繕費用もバカになりません。

 

酷い場合はすっかり元通りに回復できないこともあります。
そんな理由から「猫は困る」という大家さんが多いのです。

 

 

②マーキング(おしっこ)する


オス猫の場合は縄張り意識が強いので部屋の中で飼っていても、マーキングといって壁や柱におしっこをかける習性があります。

 

特にオスを複数飼っていると、なおさら縄張り意識が強くなってそれぞれが自分の場所を主張するために、おしっこをかけます。

 

猫のおしっこは濃度が濃く、非常に臭いものです。
すぐにふき取らないと臭いが残ってしまいます。

 

猫のおしっこがクサいわけ


猫のおしっこは人間や犬のものとはちょっと違った刺激臭がしますよね。
これはイエネコなどのほかボブキャットやハイイロネコなどの野生種の猫のおしっこに含まれる「フェリニン」と呼ばれる硫黄を含むアミノ酸を成分とする物質のせいです。

 

そのほか、ヒト・マウス・ウシ・イヌの尿からは検出されない「コーキシン」という物質がフェリニンと合わさって、あの独特の刺激臭が生まれるのです。

 

元々猫は砂漠にすむ生き物でした。
ふんだんに水を飲める環境になかったので、少ない水分でも生きていけるよう、尿が濃くなったと考えられます。

 

フェリニンは生後6ヶ月以降から増加し、未去勢のオス猫で高い数値を示し、コーキシンは生後3ヶ月頃から分泌が始まり、オス猫のほうがメス猫に比べて4倍近い量が分泌されます。

 

③毛が抜けるから


犬もそうですが、換毛期(かんもうき)である春先と秋口にはごっそりと毛が抜けます。
ベランダで猫のベッドを叩いたりすると、ブワーっと毛が舞って、隣近所まで飛んでいくことになります。

 

お隣のベランダに干していた洗濯ものなどに毛が付いたら迷惑ですよね・・・

 

④シーズンにうるさく鳴く


シーズン(発情期)のいわゆる「盛りの付いたメス猫」の鳴き声に悩まされた方もいらっしゃると思いますが、シーズンを迎えたメス猫はほぼ一日中、オスを求めて鳴き続けます。

 

固体差はありますが、4~10日間続きます。
ピークは春(2~4月)と夏(6~8月)などを含む1~8月で年2~3回ほどです。

 

※ ちなみにシーズンに鳴くのはメス猫だけです。オス猫はメス猫が発情して初めて交尾の準備ができるのです。

 

⑤夜中に運動会


元々、夜行性の動物なので昼間はほとんど寝ている猫でも、日が落ちると活発に走り回ったりします。
防音対策していないと、走り回ったり高いところから飛び降りる音が階下にまで響くことがあります。

 

 

⑥近所の庭でトイレ


完全室内飼いならいいのですが、家の外を自由に歩き回れる猫ちゃんの場合、ご近所のお庭をトイレに使ってしまうことがあります。

 

賃貸に限らず、これはこれで迷惑なものです。
猫を飼うなら完全室内飼いをおススメします。

 

※ 完全室内飼いにすれば、トイレの問題の他、交通事故に遭う、他の猫と喧嘩して怪我したり病気をうつされる、ノミやダニが付くなどの危険を回避できるからです。

 

賃貸物件で猫を飼うための対策

 

ペット可のマンション・アパートを探す


当然といえば当然ですが、実際に猫を飼っている方が猫可の物件を探すのは思った以上に大変です。
とはいうものの、ペット不可のマンションでこっそり猫を飼っている場合、もしも見つかって退去を求められても、借主は拒めないこともあります。

 

絶対に退去しなければならないかといえば、100%そうとも限りませんが、同じマンションの住人や大家さんとのトラブルになる可能性は大きいです。
引っ越しが決まったらできるだけ早く、ペット可のマンションを探すことが重要です。

 

引っ越したらご近所にご挨拶を


これも当然ですが、昔と比べると「引っ越しのあいさつ廻り」をする方は減ってきているようですね。
戸建てや分譲であれば長い期間、住むことになるのでご近所さんとのお付き合いを大切にしたいところですが、賃貸となると短期間契約のことも多いせいか、お隣さんの顔も名前も知らない、なんていうことも珍しくありません。

 

しかし、ペットがいるのなら予めご挨拶しておくことをおススメします。
隣近所に迷惑をかけていないつもりでも、音や臭いなどを気にする方もいらっしゃいます。

 

そんな時、知っている人の猫とどこのだれが飼っているのかわからない猫では、自然とその受忍限度(被害を我慢できる度合い)も変わってきます。

 

お互いに猫を飼っている人同士であれば、迷惑をかけても「お互い様ですから・・・」ということで、トラブルを防ぐことができるかもしれません。

 

また、もしも迷子になってしまった時などに、ご近所の方の協力を仰ぐこともできます。
入居したらまずはご近所に挨拶に行き、「猫を飼っていますができるだけご迷惑をおかけしないようにします」と一言、付け加えておきましょう。

 

 

猫を飼うのに必要なグッズを揃えておく


人と一緒に暮らす「家族」同然といえども、やはり猫には猫の暮らし方があります。
必要なものは事前にしっかり揃えておきましょう。

 

とはいえ、体の小さな猫ちゃんですから、特別大きな小屋などを用意する必要はありません。
(必須商品)
・ペットフード ・餌や水を入れる猫用食器 ・トイレ、ネコ砂 ・キャリーバッグ ・爪とぎ ・コロコロペーパー

 

(あると便利なもの) ・キャットタワー ・ケージ

 

トイレはこまめに掃除する


犬と違って猫の場合は、母猫がしっかりとトイレのしつけをしてくれます。
生まれたての子猫ではなく、生後2~3ヶ月の子猫ならしっかりと猫トイレで用を足してくれますので、その点は犬に比べてとてもラクです♪

 

猫トイレはそれまで使っていたネコ砂(できれば、その猫のおしっこの臭いのする部分を含めて)をもらってきて、新しいトイレに入れるようにします。
自分のおしっこのニオイの付いた砂であれば、新しいトイレでも問題なく用足しします。

 

 

ネコ砂も今ではトイレに流せるタイプのものが増えてきました。
子猫を迎え入れた時に使っていた砂に、少しずつ新しいタイプの砂を混ぜて、徐々に慣らして、最終的にはご自身で使いたいネコ砂に替えることもできます。

 

とはいうものの、前述したように猫のおしっこはかなり臭います。
猫はもともと肉食ですし、キャットフードが肉系であれば、う〇ちも臭いです。

 

トイレはこまめに掃除すれば臭いが部屋にこもることもなくなります。
それに猫はきれい好きですから、あまりにもトイレが汚いと我慢してしまうことがあり、体調を崩したり、トイレ以外の場所で粗相してしまうこともあります。

 

昼間、働いていて部屋にいなくても朝晩は必ずトイレを綺麗にしてあげましょう。

 

また、固まる砂でも、トイレに流せる砂でも使ったら補充すると思うのですが、月に1度は砂を全部取り替えておしっこなどのニオイがトイレにこびりつかないようにすることをおススメします。

 

天気のいい日に砂を全部捨てて、トイレを洗って天日干しするだけで殺菌・消臭効果があります。
猫も半日くらいならトイレを我慢できますが、予備のトイレが一つあると交互に使えて便利ですよね!

 

もしもトイレ以外で粗相してしまったり、吐いたりしてしまっても汚れた部分だけ取り替えられる敷物があれば便利です。
そこでおすすめするのが「やさしいコルクマット」です。

 

 

立てかける爪とぎを用意する


猫が爪を研ぐのは本能です。
伸びすぎた爪や、古くなった角質を取るために自分でお手入れしています。

 

ですから、壁でも障子でも柱でもソファーでも爪を立てることができる所なら、辺りかまわずガリガリ!っとやってしまう猫も多いです。

 

野生の頃の名残りなのか、木で爪を研ぐように家の中でも立ったまま爪を研ぐ仔は多いようです。
そこでおすすめしたいのが、壁に取り付ける爪とぎや、立てかけて使う爪とぎです。

 

 

 

こういったタイプの爪とぎは今は豊富に出回っていますので、愛猫が喜びそうなものを選んであげるといいですね!

 

仔猫のうちなら、両前足を持ってあげて「ここでガリガリするんだよ~」と声掛けしながら、爪とぎを引っ掻くように誘導してあげると、すぐに爪とぎであると認識してくれます。

 

壁の保護


部屋の壁や柱を引っ掻かれたくないなら、猫が立ち上がって前足が届かない程度の高さ(約90cm)まで、爪が引っ掛からない表面が滑らかな素材のものを貼っておきます。

 

普通の壁紙や木などは爪が引っ掛かって滑らないので、恰好の爪とぎにされてしまいます。

 

猫用に開発された壁紙などもありますが、応急処置に使うなら引っ越しの際、養生に使うプラダンですが、見た目がいかにも「養生」なので、気になる方は猫用引っ掻き防止シートなどを用意するといいでしょう。

 

 

去勢・避妊手術


仔猫を産ませる予定が無いのなら、生後5~6ヶ月をめどに去勢・避妊手術をすることをおススメします。

 

手術というと可哀そうに思うかもしれませんが、何もしないでいると、メス猫はシーズンに入ると連日大きな声で鳴くようになりますし、オス猫は部屋のあちこちにマーキングするようになります。(まれにオス猫でもマーキングしない仔もいます)

 

室内飼いでも、ちょっとした隙に脱走して妊娠してくるということもあり得ます。
仔猫が生まれてしまってからでは対策を立てられません。

 

メス猫の場合、避妊しないと、いわゆる婦人病(子宮の病気や乳がん)にかかる可能性もあります。
1匹だけ飼って、その仔の天寿を全うさせてあげることを考えると、去勢・避妊手術が必ずしも悪いこととは言えないのです。

 

こまめにブラッシングを


生後半年を過ぎた頃から、抜け毛が目立ち始めます。
これはストレスでも病気でもなく、むしろ健康な証拠です。

 

ほんの数日、掃除をしないだけでも部屋のあちこちに猫の毛が落ちて、それが風に舞ったりします。
猫種にもよりますが、長毛主であれば特に頻繁にブラッシングをしてあげましょう。

 

その時、絞ったタオルで全身を軽く拭いて湿らせてからブラッシングすると、抜けた毛が宙を舞うことが少なくなります。

 

ご自分の両手を濡らして、サーッと猫をなでて湿らせてからぶらっしんしてもOKです。

 

人がブラッシングしてあげることで、猫自身がグルーミング(毛づくろい)の際、自分の毛を大量に飲み込まずに済みます。

 

ちなみに猫は毎日のグルーミングでかなりの毛を飲み込んでおり、時々それを吐き戻しするので、「猫はしょっちゅう吐いている」というわけです。

 

ブラッシングすることで猫と飼い主さんとの絆も深まり、より仲良しになれるでしょう。
ただし、猫が嫌がったらすぐにやめた方がいいです。

 

嫌がる猫を抑えつけてブラッシングすると、反対に嫌われて次回からは敬遠されてしまいます。

 

脱走の防止


普段は部屋で待ったりしていることが多い猫ですが、保護猫など外の世界を知っている猫ちゃんの場合はほんの少しの隙間からすり抜けて外に出てしまうことがあります。

 

気を付けたいのが玄関、ベランダ、トイレやキッチンの小窓からの脱走。
玄関を開けたらすぐ、外の世界に通じる場合(外階段のマンションなど)は、宅配便などが来たとき、いきなり玄関を開けるのではなく、玄関と猫がいるお部屋の間に仕切り扉などを設置しましょう。

 

◎突っ張り棒タイプの脱走防止扉
※ 突っ張り棒タイプの扉は便利ですが、扉の近くに猫の足場(段ボールや椅子、テーブルなど)があると、そこから扉上方の空いている隙間から簡単に出てしまいますので要注意です。

 

 

パーティションタイプ

 

玄関だけでなく、窓やベランダからの脱走にも気を付けたいものです。
特に軽くて滑りのいい網戸などは簡単に空けてしまう猫が多いようです。

 

換気しようとして窓を開けっぱなしにしたり、洗濯ものを干すときにベランダの窓を開けたままなんていうのは、みすみす脱走を促すようなもの。

 

窓やベランダを通ってお隣さんの部屋に行ったり、そのまま外に出てしまいますので気を付けたい所です。

 

◎ペットフェンス
窓を開けたいけれど、網戸を破られそう、開けられそう、というときに便利なペットフェンス。

 

 

まとめ

 

まだまだ日本では「猫可」の賃貸物件が少ないように思います。
それは、今まで何の対策もせずに猫を飼ってトラブルを起こした人が多かったせいかもしれません。

 

猫は正しい飼い方をすれば、手が掛からず家も汚さないキレイな動物です。
飼い主のほんのちょっとの気遣いで人も猫も快適に暮らせるようになります。

 

空前のペットブームにあやかり、今は本当に様々な便利アイテムが登場しています。
猫を飼っているだけで嫌われないよう、できる限りの準備をしておきましょう。

 

猫と一緒に暮らせる部件が増えて猫を飼っている人も飼っていない人も、そして猫ちゃんも毎日幸せに暮らせることを心から願っています。